脊椎外科医が教える「ぎっくり腰」の原因と治療、自宅でできる解消法

  1. ぎっくり腰とは何でしょうか?
  2. ぎっくり腰が起こるのは、どういう時でしょうか?
  3. ぎっくり腰は、何日くらいで治りますか?
  4. ぎっくり腰の起こる原因は何ですか?
  5. ぎっくり腰になったとき、運動してもいいのですか?
  6. ぎっくり腰になったとき、安静にした方がいいのでしょうか?
  7. ぎっくり腰になってしまったら、どうしたらいいのでしょうか? 
  8. ぎっくり腰になった場合、自分で出来る応急処置は?
  9. ぎっくり腰の予防方法は?
  10. ぎっくり腰になってしまったら、病院を受診した方がいいのでしょうか?

1.ぎっくり腰とは何でしょうか?

いわゆる「ぎっくり腰」とは、急に起こった腰の強い痛みのことで、正式には「急性腰痛症」という名称です。

突然、予想もしないほどの激しい痛みが腰に生じることから、欧米では「魔女の一撃」とも呼ばれています。

2.ぎっくり腰が起こるのは、どういう時でしょうか?

もっとも多いのは、「重いものを持ち上げた時」に発症するケースですが、立ち上がろうとした直後、体をひねった時、同じ姿勢を続けた後、など日常の動作がいくつか挙げられます。しかし、何もしないでも起こる場合はあります。

3. ぎっくり腰は、何日くらいで治りますか?

一般的には1-2週間前後で自然に回復しますが、痛みがそれ以上に続く場合や、腰から太もも、ふくらはぎにかけて痛みが続く場合は、椎間板ヘルニアなどの疾患が原因かもしれません。脊椎の専門医の診察をお勧めます。

4.ぎっくり腰の起こる原因は何ですか?

痛みの原因はいろいろ考えられますが、一般的な腰痛と同じように、椎間関節、椎間板、腰背部の筋肉および筋膜、仙腸関節、椎間板ヘルニア、などが考えられます。必ずしも原因が一つに限定されるわけではなく、複数の病態が関与している場合も多いと思われます。

痛みの原因を厳密に特定するためには、診察や検査を経て、ブロックなどを併用して考える必要があります。しかし、ぎっくり腰の方の多くは、先述のように1-2週間前後で自然に回復しますので、緻密な検査は不要なので行いません。よって、原因についてもはっきりしたことは言えないでしょう。

私個人の治療経験からは、椎間関節由来の痛みが多い印象があります。

5.ぎっくり腰になったとき、運動してもいいのですか?

ダメとは言いませんが、ぎっくり腰を治す、つまり痛みを和らげるために、運動は効果がないと言われています。

急性腰痛に対する運動療法の効果については、過去に多くの研究が行われていますが、

急激な腰痛を発症した患者の中で、運動をした群と、しなかった群、および他の保存治療(内服治療など)を行った群を比べてみると、

腰痛の改善に差が無かったと報告されています。

(Hayden. Excercise therapy for treatment of non-specific low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews 2005)

絶対安静にはせず、痛みが我慢できる範囲で、普段に近い生活を行うのが望ましいでしょう。

6.ぎっくり腰になったとき、安静にした方がいいのでしょうか?

あまりに痛みがきつくて動けない間は、無理をして動く必要はありません。

しかし、絶対安静にした方が腰痛を治しやすいかと言えば、そうではありません。

安静にするよりも活動性を維持する方が、腰痛が改善しやすいとされています。

ある程度腰痛が落ち着いた頃、つまりぎっくり腰になって2-3日後から、痛みが許容できる範囲で動くようにしましょう。

ただし、腰に負担のかからない姿勢や動き方に注意してください。

できるだけ中腰、つまり前かがみの姿勢を取らないようにしてください。

7.ぎっくり腰になってしまったら、どうしたらいいのでしょうか?

通常は痛みがあまりに強いため、動けない状態だと思われます。とりあえず横になって安静にしてください。

ただし、仰向けで脚を伸ばして寝ると、腰椎が伸展する方向に力が加わり、腰に負担がかかるので痛みが強くなる可能性があります。

仰向けで、膝の下にクッションやまくらなどを入れて膝を軽く曲げた状態で寝るか、または膝を軽く曲げて横向きに寝る方が、腰に負担がかかりにくいのでお勧めです。

8.ぎっくり腰になった場合、自分で出来る応急処置は?

ぎっくり腰になった直後、患部は炎症を起こしています。

湿布や保冷剤などがあれば、痛みを感じる部位に貼ってください。

痛い場所を冷やすことにより炎症を抑えます。

市販の鎮痛剤が手元にあれば、飲んでいただいて結構です。

処方を受けるのであれば、非ステロイド系抗炎症薬(ロキソニンなど、一般的な鎮痛剤です)、アセトアミノフェン(子供用の解熱剤などによく使われます)、筋弛緩薬などが有効とされています。

(Kincade. Evaluation and treatment of acute low back pain. American Family Physician 2007)

さらに、手元にコルセットや腰痛ベルトなど、腰部をある程度固定できるものがあれば、装着してください。

体を動かす際、腰への負担が軽くなります。

9.ぎっくり腰を予防するには、どうしたらいいのでしょうか?

原因が多岐にわたるため、予防法についても一概には言えません。

一般的には、腰に負担のかからない動き方や姿勢に気を付けることが大事です。特に、前かがみ、中腰の姿勢は腰椎に負荷がかかるので避けましょう。ものを拾う時には、背中を曲げずに膝を曲げ、腰を下げて拾うように気を付けてください。

ぎっくり腰を予防するための具体的な運動などについては、個々の患者さんで状態が異なるため、理学療法士の診察を受けて相談するのが良いと思われます。

10.ぎっくり腰になってしまったけれど、病院には受診した方がいいのでしょうか?

ぎっくり腰は一般的に、1-2週間で良くなりますので、直ちに受診した方が良いのか?というと、そういうわけではありません。

しかし、痛みが2-3週間以上続く場合や、腰だけではなく、太ももからふくらはぎにかけても痛みを感じる場合、何度も繰り返す場合には、椎間板ヘルニアなどの腰の疾患が原因かもしれません。

脊椎の専門医を受診し、検査などを相談した方が良いでしょう。