脊椎内視鏡手術が役に立てる状況

数カ月前に手術を受けて頂いた患者さんが、先日外来を受診されました。

腰椎の疾患の方でした。

数年前から痛みが強くなってきており、外科医目線では、かなり以前から手術のタイミングだと考えていました。

しかし、この方も、外科治療になかなか踏み切れませんでした。

なぜか。

その方には、ごく軽度の認知症があったからです。

認知症の方は、入院すること、環境が変わること自体が大変なストレスになります。

家族様もその点を心配されたのでしょう。

手術についての不安と、入院に対する不安が重なり、実際に決断されたのは外来通院されて数年目のことでした。

実際の手術はスムーズに終わったのですが、やはり当日の夜はストレスだったようです。

手術によって神経による痛みも取れ、さらに手術のキズの痛みは殆ど無かったようですが、病院におられること自体が苦痛な様子でした。

手術の翌朝には、早々に一般病棟に上がられましたが、この時にも、早く帰りたい、と何度も繰り返されました。

結局、手術翌日の午前中に退院されています。

高齢化社会と言われていますが、脊椎外科の世界でも、患者さんの年齢層は年を追うごとに上がっています。

同時に、認知症の患者さんも徐々に増えつつあります。

ご自身の病状や治療方針について、十分な理解を得て初めて手術に臨む、という我々の基本方針は変わらないのですが、認知症の方では適切な理解が難しい状況もあります。

しかし、痛みや痺れを、何とかできないか。家族さんにとっても非常に悩ましい状況と思われます。

このような場合には、

できるだけ体に負担が少なく、リスクも低く抑えられ、痛みがしっかり取れて、

入院が短期間で済む、このような治療が望ましいと考えております。

内視鏡手術は、何度も繰り返すように、万能な治療法ではありませんが、

病状によっては、御高齢で軽度の認知症を有する脊椎疾患の患者さん、およびその家族様にも安心して選んで頂ける手術法だと考えています。

今後も内視鏡手術を、脊椎疾患で悩まれる方々に役立てたいと思います。