「家族の介護で長期入院できない」こういう方こそ脊椎内視鏡手術を 

先日、腰部脊柱管狭窄症の手術を受けられた患者さんの話です。

その方は、診断がついてから実際に手術に踏み切るまで、数年かかりました。

症状が軽かった、という訳ではありません。5分も歩いたら足がしびれていて、生活上の不自由さはかなりの程度だったと思います。外来で何度か治療のお話をしましたが、そのたびに「手術を受けるのは難しい」という御返事でした。

なぜでしょうか。

御兄弟が施設に入っておられて毎日お世話をする必要があり、御本人は入院できる日が見つからなかったのです。

それが、コロナで面会禁止になったので、期せずして入院が可能になったということです。

高齢化社会、と言われていますが、10年、20年以上前にはそれほど問題にならなかったことが、現在では悩みの種になる場合があります。

入院治療を考えた方が良い状態なのに、家族様の介護や看護のため、自分の治療は後回し、という方が最近増えてきました。特に脊椎の病気は、命に関わるものではないので、自分が何とか我慢すればいい、と考えられるのかもしれません。

我々医師は、どうしても病状を第一に考えてしまいます。しかし、患者さんからすると、脊椎の病気よりも家庭の事情を優先せざるを得ない、という状況でしょう。

そのような場合、脊椎内視鏡手術は一つの解決策になる可能性があります。

内視鏡手術で、体の負担を小さくして、入院期間も出来るだけ短くする。同時に、十分な治療効果を得る。そうすることで、一日でも早く、家族様の下へ帰って頂くことが出来ます。

実際に、冒頭の方は、手術時間は1時間と少し、入院も手術後2日でした。

脊椎の病気そのものだけでなく、様々な事情で治療法に悩んでおられる方に、内視鏡手術を少しでも役立てたい。私はそう考えています。もちろん万能な治療ではありませんが、我々外科医が正しい使い方をすれば、内視鏡にはそれだけの力があると思います。