腰椎手術における従来の方法と顕微鏡下手術、内視鏡手術の違い

脊椎の手術は、医学の発展とともに進化しております。比較的多く行われる、腰椎の椎弓切除術においても、従来の方法と現在の方法には大きな隔たりがあります。

30年ほど前には、腰の真ん中を大きく切開し、左右両側の筋肉も切開して椎弓から剥離し、肉眼で確認しながらの手術でした。

顕微鏡が導入されるようになり、切開の大きさも小さくなり、筋肉も剥離も左右片側だけで手術できるようになりました。さらに、顕微鏡で神経を拡大して観察するため、神経周囲の処置もより安全になったと言えます。

内視鏡が導入されると、皮膚切開の大きさ、筋肉を剥離する範囲もさらに小さくなり、目的とする脊椎の処置が出来るようになりました。

「肉を切らずに骨を断つ」というようなイメージです。

そして、内視鏡で神経に近づいた場所から観察して手術が出来るので、神経の周りの処置もさらに安全になったと考えています。

ここではオープン法、顕微鏡下手術、内視鏡下手術について説明いたします。

内視鏡手術の利点についても、比較することで御理解いただけると思います。

オープン法での手術

従来のオープン法を行っている患者さんの背部。赤い線が手術のキズ。
オープンでの手術患者さんを横からみた図。1か所の手術に、キズの大きさは5-6cm程度。
中の筋肉を広い範囲で、左右両方とも切開して剥離する必要がある。

顕微鏡下手術(腰椎)

顕微鏡手術の患者さんを後ろからみた図。赤い線は手術のキズ。
顕微鏡手術の患者さんを横からみた図。1か所の手術に、キズの大きさは3.5cm程度。
中の筋肉を左右どちらか片側を切開して剥離する必要がある

顕微鏡下手術は、安全で確立された方法です。キズの大きさは一カ所につき3.5cm程度です。これでも20-30年ほど前のオープン法と比較してかなり小さくなっており、日常診療の中では殆ど問題はありません。強いて課題を挙げるなら、キズの下の部分にある筋肉も切開する必要がありました。

手術の後、1週間ほどは鎮痛剤を内服する必要がありました。

手術後の入院期間は、病状にもよりますが、7-10日程度でした。

顕微鏡手術の利点は、脳の手術に用いられていることから分かるように、より細かい作業ができる点です。脊髄腫瘍の手術など、繊細な処置が必要な場合には、顕微鏡で手術を行います。

脊椎内視鏡手術(腰椎)

当院での内視鏡を使った脊椎手術では、内視鏡挿入用と手術操作用の、合計2つの創部を通して手術を行います。

これまでのように背中の筋肉を切開する必要がありません。 内視鏡で神経に近づいた場所から観察しなふぁら手術を行います。

当院の内視鏡手術の患者さんを後ろから見た図。赤い線は手術のキズ。
当院の内視鏡手術を側面から見た図。キズの大きさは各々約6mm, 8mm。
筋肉の切開および剥離は幅8mm程度。

その結果、体への負担が少なくなり、手術後のキズの痛みが少なくなり、回復が早くなりました。

当院で内視鏡手術を受けた患者さんの腰の写真です。キズの大きさは各々6-8mm程度です。

キズが小さいため、手術後の抜糸も必要ありません。

痛みも少なく、手術の2時間後から歩いて頂けます。トイレに行くことが出来るので尿道カテーテル(尿を排出させるための管)も不要となり、抜去します。

手術中の出血も非常に少ないです。

入院期間は、患者様の病状はもちろんですが、その他の事情に合わせて相談致します。

手術後2日程度で退院される方が多いです。病状に応じて、日帰り手術も相談致します。